衆議院議員 中山泰秀 公式サイト|自由民主党 大阪4区

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日本を強くすることと、大阪市をなくすことは同じではない。

日本を強くすることと、大阪市をなくすことは同じではない。
日本を強くするために、首都機能の分散は必要です。
しかし、そのことと大阪市をなくすことは本当に同じなのでしょうか。

今週、自民党本部で行われた議論を踏まえ、率直な思いを記したいと思います。

まず最初に、立場を明確に申し上げます。
私は首都機能の分散に賛成です。
むしろ積極的に進めるべきだと考えています。

日本は政治、行政、経済、情報など国家運営の中枢機能の多くを東京に集中させています。
しかし、首都直下地震や南海トラフ巨大地震だけではありません。

ミサイル攻撃、サイバー攻撃、テロ行為、重要インフラへの破壊工作、大規模停電や通信障害など、現代国家が直面するリスクは年々複雑化しています。

防衛副大臣を務めた経験から申し上げても、国家機能を一箇所に集中させ続けることは、安全保障上の大きなリスクです。

だからこそ、政府機能や情報通信機能、経済中枢機能のバックアップ体制を整備し、日本という国家の継続性を確保することは極めて重要です。
この点については、自民党本部で行われた議論でも反対意見は一つもありませんでした。

国家の脆弱性を克服し、国民の生命と財産を守る。
その必要性は、多くの国会議員が共有している認識です。

しかし、首都機能分散という国家的課題と、大阪市を廃止する大阪都構想が、あたかも同じ問題であるかのように扱われていることには強い違和感があります。

この二つは本来、全く別の議論ではないでしょうか。

日テレニュース:「副首都」設置に向けた法案審査 自民党で始まる「大阪都構想」
に反発も 出席議員から異論相次ぐ より

【大阪市をなくすことと、日本を強くすることは同じではない】
首都機能のバックアップ拠点を整備することと、大阪市を廃止すること。
この二つにどのような因果関係があるのでしょうか。
何度考えても、その説明には納得できません。
実際、自民党本部で行われた議論では、首都機能分散そのものに反対する意見は一つもありませんでした。

一方で、大阪市廃止を伴う大阪都構想については、多くの議員から疑問や懸念が示されました。
特に印象的だったのは、その声が大阪選出議員だけではなかったことです。
なぜなら、国会で法律を制定するということは、大阪だけの問題ではないからです。
法律は一度成立すれば全国の前例となります。

愛知県と名古屋市。
神奈川県と横浜市。
兵庫県と神戸市。
福岡県と福岡市。

全国には都道府県と政令指定都市が共存する地域が、上記以外にも数多くあります。
したがって、この問題は大阪市だけの問題ではありません。

日本全国の政令指定都市と都道府県との関係、さらには地方自治制度全体のあり方に関わる問題として受け止めなければならないのです。

もし大阪市の解体・廃止を前提とした考え方を国の法律として位置付ければ、それは全国の地方自治制度にも影響を及ぼします。

だからこそ、
「これは大阪だけの問題ではない」
「地方自治制度全体に関わる問題だ」
という懸念が相次いだのです。

【二度示された民意と、約100億円の税金】
大阪都構想は過去二度、住民投票で否決されています。
一回目、約35億円。
二回目、約35億円。
合わせて約70億円もの税金が使われました。

もちろん民主主義にはコストがかかります。
しかし、それだけの税金を使って二度にわたり民意を問い、二度とも否決されたという事実は極めて重いものです。

さらに忘れてはならないのが、先の衆議院総選挙と同時期に行われた大阪府知事選挙と大阪市長選挙です。
当時の知事と市長が任期途中で辞職し、いわゆる「出直し選挙」が行われました。
この選挙にも約28億円の公費が使われています。
しかも、この選挙は勝利すれば新たに4年間の任期が始まる選挙ではありませんでした。
元々の任期の残り期間を務めるための選挙です。

なぜこのタイミングで辞職し、多額の税金を投入してまで出直し選挙を行う必要があったのか。
一人の大阪市民として、正直なところ今でも不思議に感じています。

また国会議員として見ても、この出直し選挙が衆議院総選挙と重なったことによって、公営掲示板のスペースが大幅に制約されました。

多くの候補者が限られた掲示スペースの中で選挙戦を戦わなければならず、有権者への情報提供という観点からも少なからぬ影響があったと感じています。

二度の住民投票と出直し選挙。
これらを合わせると、約100億円近い税金が使われたことになります。

民主主義にはコストが必要です。
しかし、そのコストが本当に必要だったのか。

そして二度にわたって示された大阪市民の民意をどのように受け止めるのか。
その検証は避けて通れないと思います。

【大阪市は衰退している都市ではない】
大阪市を解体しなければならない理由として、しばしば大阪の停滞が語られることがあります。
しかし、本当にそうでしょうか。

令和7年国勢調査によれば、大阪市の人口は280万8,624人となり、前回調査から5万6,212人増加しています。
増加率は2.0%です。
特に浪速区は15.8%増、中央区は15.1%増、西区は9.1%増、北区は7.3%増と、都心部を中心に大きな人口増加が見られます。
もちろん行政課題はあります。
しかし少なくとも、「大阪市が衰退しているから解体しなければならない」という説明は、現実と一致しているとは思えません。

大阪市は今なお成長を続ける日本有数の大都市です。
だからこそ問いたいのです。
成長している大阪市を、なぜ解体しなければならないのでしょうか。

【地方自治の本旨から考える】
日本国憲法第92条は、「地方自治の本旨」に基づいて地方自治制度を定めることを求めています。
地方自治の本旨とは、住民自治と団体自治です。
その中でも特に重要なのは住民自治ではないでしょうか。

自治とは、究極的には自己決定権です。
自分たちの街の未来を、自分たちで決める権利です。
大阪市が存続するのか、廃止されるのか。
最も影響を受けるのは大阪市民です。
それにもかかわらず、大阪市民以外の意思によって大阪市の将来が決められるとすれば、それは住民自治の考え方と整合するのでしょうか。

この点には大きな疑問があります。
政令指定都市を失うということ
あまり語られませんが、ここは極めて重要な論点です。

大阪市は政令指定都市です。
人口約270万人を擁する日本最大級の基礎自治体であり、全国有数の税収基盤と財政規模を持つ大都市です。
決して「府に吸収されなければ成り立たない自治体」ではありません。

特に重要なのは、政令指定都市が国に対して独自に予算要望や政策提言を行い、財務省をはじめとする各省庁と直接折衝できる立場にあるということです。

これは中核市や一般市には認められていない、政令指定都市ならではの大きな権能です。

言い換えれば、大阪市民は現在、大阪市という政令指定都市を通じて、国に対して直接声を届けることのできる制度的な地位と利益を享受しているということになります。

しかし、大阪市が解体され特別区となれば、その権限の多くは大阪府へ移ります。
これは単なる行政組織の変更ではありません。
大阪市民が現在持っている自治の力や国への発言力のあり方そのものが変わるということです。

私はこれを、市民自治の縮小と捉えています。
例えるなら、現在グリーン車に乗っている人に対して、
「これからは自由席に移ってください」
と言いながら、
「でも名前は特別席(=特別区)になります」
と説明しているようなものです。

しかし住民にとって重要なのは名称ではありません。
実際にどのような権利と権能を持つのかです。

大阪市民が現在持っている自治の力や国への発言力が小さくなるのであれば、その必要性について極めて丁寧な説明が求められるはずです。

名前を変えれば現実が変わるわけではありません。

【東京と大阪は本質的に違う】
大阪都構想を議論する際によく聞かれるのが、「東京があるのだから大阪も都になればよいではないか」という考え方です。
しかし、東京と大阪では財政構造が本質的に異なります。
東京都は全国でも突出した税収を持ち、自らの財源を中心に行政運営を行うことができる極めて特殊な自治体です。

一方、大阪が仮に名称として「都」になったとしても、東京都と同じ財政構造になるわけではありません。
引き続き国の財政制度の枠組みの中で運営されることになります。
つまり、名称が「都」になったとしても、東京都になるわけではないのです。

東京都の「都」と、大阪都構想で語られる「都」は、似ているようで本質的には異なります。
言葉は同じでも、中身は全く別物です。
名前を変えれば現実が変わるわけではありません。

本当に住民の利益になるのか。
本当に自治の力が強くなるのか。
本当に大阪の発展につながるのか。

そして、本当に大阪市民が現在持っている権利や権能よりも大きなものを得られるのか。
そこが問われなければならないと思います。

【二重行政解消論への疑問】
大阪都構想の理由として「二重行政の解消」が語られます。
しかし、大阪府には現在も大阪市と堺市という二つの政令指定都市があります。
仮に大阪市だけを解体したとしても、堺市と大阪府の関係は残ります。
つまり、理論上の二重行政は解消されません。

私は2003年に初当選した当時のことを今でも鮮明に覚えています。
当時、中核市だった堺市を政令指定都市へ昇格させてほしいという陳情を、堺市の関係者の皆様から数多く受けました。
そして国会議員として、その実現のために努力しました。
現在の堺市長は維新所属ですが、それでも堺市は都構想には参加していません。
それは政令指定都市という制度が持つ価値を理解しているからではないでしょうか。

【私が守りたいもの】
私は大阪市で生まれ、大阪市で育ちました。
大阪市は単なる行政区域ではありません。
家族が暮らし、友人が暮らし、多くの思い出が詰まった、かけがえのないふるさとです。
だからといって感情論だけで申し上げているわけではありません。
むしろ大阪を成長させることには賛成ですし、大阪の発展は日本全体の発展につながると考えています。

だからこそ問いたいのです。
大阪市をなくすことで、本当に大阪市民の利益は大きくなるのでしょうか。
本当に自治は強くなるのでしょうか。
本当に住民の権利は向上するのでしょうか。

私は首都機能分散には賛成です。
高市政権が進める国家の強靱化も応援しています。
しかし、それと大阪市廃止は別問題です。

国家の安全保障と地方自治は、どちらか一方を選ぶものではありません。
どちらも守らなければならない大切な価値です。
そして地方自治の主役は、行政でも政党でもありません。
そこに暮らす住民です。
私は大阪市民だから反対しているのではありません。
国会議員として、日本の地方自治制度全体に責任を持つ立場から申し上げています。

日本を強くすることと、地方自治を守ることは両立できます。
国家を強くすることと、ふるさとを守ることも両立できます。
だからこそ、首都機能分散という国家的課題と、大阪市廃止という地方自治の問題は、分けて議論されるべきだと考えています。
地方自治は民主主義の原点です。
その原点を軽んじることなく、日本の未来にとって何が本当に必要なのか。

国家を強くすることと、地域の自治を守ること。

その両方を大切にしながら、これからも議論を続けていきたいと思います。

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