対イラン・オペレーションの出口は、本当に「停戦」なのでしょうか?
ニュースでは毎日のように、
「停戦が成立した」
「停戦が破られた」
「交渉が再開される」
といった報道が続いています。
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参考までに📺NHKニュース
「アメリカは状況次第で攻撃する考え イランは対抗する姿勢 | NHKニュース | イラン情勢、アメリカ、イラン」
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015174231000
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もちろん、停戦は極めて重要です。
しかし私は、安全保障の観点から見ると、もう一つ注目しなければならない視点があると考えています。
それは、「アメリカは、何をもって今回の対イラン・オペレーションを終了したと判断するのか」という点です。
イランの核開発能力そのものを取り除くという選択肢は、今回初めて生まれたものではありません。
歴代のアメリカ政権も、そのような政策オプションを持っていたはずです。
しかし、実際の政策として中心に据えてきたのは、外交交渉、経済制裁、IAEAによる査察、核合意などを通じて、イランの核開発を一定の枠組みの中で管理・コントロールするという考え方でした。
ところが、国際社会が外交や査察を重ねても、イランはその網をかいくぐるように核開発を進めてきたと見られています。
その動きを察知したイスラエルは、独自の情報活動や作戦によって核開発を阻止しようとしてきました。また、同じ懸念を共有する国々も、それぞれの立場からイランの核開発を食い止めようとしてきました。
それでも、問題は根本的には解決しませんでした。
管理しようとすれば、その管理をかいくぐる。
査察を強化すれば、より秘匿された形で開発を進める。
こうした歴史が積み重なった結果、「管理・コントロール」だけでは根本的な解決にはならないと判断し、最も強い政策オプションを実際に選択した最初のアメリカ大統領が、トランプ大統領ではないかと私は見ています。
私の分析では、今回トランプ政権が目指しているのは、高濃縮ウランだけを管理することでも、核関連施設だけを破壊することでもありません。
約460キログラム(核兵器約11発分ともいわれる)の60%濃縮ウラン、核関連施設、濃縮設備、製造能力など、イランの核兵器開発につながる懸念そのものを取り除くことです。
もちろん、それが外交、国際査察、国外搬出、設備の停止や解体など、平和的かつ検証可能な方法で実現できるのであれば、それが最善です。
しかし、イランが抵抗し、核物質や核関連施設を温存しようとするのであれば、その目的を達成するために施設を無力化し、必要であれば軍事的措置も選択肢から排除しない。
私は、それが現在のトランプ政権、そしてホワイトハウスの対イラン戦略ではないかと分析しています。
例えるなら、重度の虫歯の治療に似ています。
痛みだけを一時的に抑える対症療法では、原因は残ります。
根本的な治療を行うのであれば、原因そのものを取り除き、再発しない状態をつくらなければなりません。
今回の対イラン・オペレーションも、そのような「根治治療」の発想に近いのではないかと私は考えています。
では、日本の政治家として、この問題をどう考えるか?
私は、日本の政治家として、少なくとも三つの視点を持って、この問題を考えなければならないと思っています。
第一に、国民生活とエネルギー安全保障です。
中東情勢の緊迫化は、原油価格やエネルギー価格の上昇を通じて、日本国民の暮らしや企業活動に直接影響しています。
この状況を一日も早く鎮静化させることは、日本の政治家として当然の責任です。
しかし、形式的な停戦だけで根本的な問題が残れば、いずれ同じ危機が繰り返されます。
だからこそ、日本としても、民主主義諸国にとって安定した形で、この問題が収束することを戦略的に考えなければなりません。
第二に、イランと北朝鮮の関係を忘れてはなりません。
日本の安全保障では、中国、北朝鮮、ロシアという三つの正面が語られます。
そして、それぞれがイランと深い関係を持っています。
特に北朝鮮とイランは、長年にわたり弾道ミサイルや関連技術をめぐる協力関係が指摘されてきました。
北朝鮮にとって武器や技術支援は外貨獲得の重要な手段でもあり、そうした蓄積が現在の核・ミサイル能力につながっているという見方もあります。
つまり、中東で起きていることは、日本から遠く離れた地域だけの問題ではありません。
日本の頭上を飛ぶ北朝鮮のミサイルとも、決して無関係ではないということです。
この視点を忘れてはならないと私は考えています。
第三に、国際秩序全体の変化です。
現在、世界は民主主義国家と権威主義国家の間で、国際秩序そのものが大きく揺れ動く時代に入っています。
その影響は軍事だけではありません。
サプライチェーン、経済安全保障、エネルギー、宇宙、サイバー、電磁波、情報空間など、あらゆる分野に及んでいます。
陸・海・空だけで安全保障を語る時代ではなく、すべての領域を一体として考える「マルチドメイン」の時代です。
中東で起きた出来事が、エネルギー価格、物流、金融市場、サイバー空間、情報空間を通じて、日本社会へ直ちに影響を及ぼします。
だからこそ、今回の対イラン問題も、一地域の紛争としてではなく、日本の安全保障全体の中で捉えなければなりません。
私は、この三つの視点を持ちながら、この問題を考えていく必要があると思っています。
停戦という一つの言葉だけに一喜一憂するのではなく、その先にどのような国際秩序が築かれるのか。
それを日本の国益、国民生活、そして将来の安全保障という観点から見つめること。
それが、日本の政治家としての私の基本的な立ち位置です。