9月3日付「DOW JONES 読売新聞 Pro」に、グローバルサウスとの連携をテーマにしたインタビューを掲載いただきました。
「国際秩序形成 重要なプレーヤー」
中山泰秀・自民 日・グローバルサウス連携本部長…「ともに成長」目指す
インタビュー記事はこちら
今回のインタビューでは、グローバルサウスとの関係、日本企業の海外展開、資源・エネルギーを含む経済安全保障、そして認知戦やこれからの国際協力のあり方まで、幅広くお話ししました。
その根底にある私の問題意識は、一つです。
日本と相手国の双方に、長く利益が残る関係をどうつくるのか。
これからの日本外交を考えるうえで、私はここが非常に重要だと考えています。
「支援する側・される側」だけではない
日本は長年、ODAをはじめとする国際協力を通じ、世界各地の発展に貢献してきました。
これは日本が誇るべき積み重ねです。
しかし、世界の構造は大きく変わりました。
人口、経済成長、市場、天然資源、そして国際社会における政治的な発言力を考えても、いわゆる「グローバルサウス」の国々は、もはや単なる支援の対象ではありません。
これからの国際秩序を形づくっていく重要なプレーヤーです。
だからこそ、これからは「日本から何を提供できるか」だけではなく、まず相手国が何を必要としているのかを考える。
そのニーズと、日本の技術、企業、金融、人材育成、国際協力などを組み合わせ、双方の成長につながる仕組みをつくっていく。
私は、この発想への転換が必要だと考えています。
日本の強みは「資金量」だけではない
中国をはじめ、各国がグローバルサウスとの関係を急速に深めています。
しかし、日本が同じ方法で資金量だけを競う必要はないと思っています。
日本には、長年積み重ねてきた技術があります。人材があります。企業があります。そして何より、世界各地で長い年月をかけて築いてきた「信頼」があります。
重要なのは、その日本の強みを相手国の課題解決につなげることです。
単に、「日本の商品を買ってください」ではなく、
「あなたの国が抱えている課題を、日本の技術や企業と一緒に解決しましょう」という関係をつくる。
そして、インフラを造って終わりではなく、現地企業や人材を育て、雇用を生み、技術を移転し、10年後、20年後にもその国に産業や付加価値が残っている。
「日本と組んだことで、自分たちの国が強くなった」
そう思ってもらえるパートナーを目指すべきだと思います。
資源を「買う」だけで終わらせない
これは、日本の経済安全保障にも直結します。
重要鉱物やエネルギーを確保することは、日本にとって極めて重要です。
しかし、資源国との関係を「日本が買う側」という論理だけで考えていては、長期的で安定した関係にはなりません。
採掘だけではなく、精錬、輸送、港湾、電力、人材育成、環境対策まで視野に入れ、資源国にも産業や雇用、技術、付加価値が残る仕組みをつくる。
同時に、日本としても一つの国や地域への過度な依存を避け、供給網を多元化していく。
資源を単に「奪い合う」のではなく、資源国と一緒にサプライチェーンそのものを育てていく。
これも、日本だからこそできる資源外交の一つの形ではないでしょうか。
日本企業が「行ける環境」をつくる
日本企業には、高い技術力と信頼があります。
一方で、新しい市場への進出では、意思決定のスピードやリスクへの対応など、まだ課題もあります。
だから政府が「もっと海外へ行ってください」と言うだけでは十分ではありません。
外交、金融、ODA、貿易保険など、政府が持つさまざまな政策手段をできる限り機動的に組み合わせ、日本企業が「行ける環境」をつくる必要があります。
日本企業だけですべてを完結させる必要もありません。
現地企業や第三国企業とも連携しながら、日本の技術やサービスが相手国の成長につながり、その成果が日本にも返ってくる。
私は、こうした循環をもっと大きくしていきたいと考えています。
アニメやマンガも、日本への「入口」になる
日本の強みはインフラや製造業だけではありません。
アニメやマンガをはじめとする日本のコンテンツも、大きな力を持っています。
特に若い世代の多いグローバルサウスでは、日本のアニメやマンガをきっかけに日本語を学び、日本を訪れ、日本の商品に触れ、やがて日本企業と仕事をする人が生まれるかもしれません。
コンテンツそのものの売上だけを見るのではなく、世界の人々が日本を知り、日本に関心を持ち、日本を信頼する「入口」として考える。
これも立派な国家戦略だと思います。
「良いことをしていれば自然に伝わる」時代ではない
もう一つ、今回のインタビューでお話ししたのが「認知戦」です。
日本はこれまで、ODA、インフラ整備、人材育成などを通じ、世界各地でさまざまな貢献をしてきました。
しかし、良いことをしていれば、それだけで世界の人々に自然に伝わる――残念ながら、いまの情報環境はそれほど単純ではありません。
誰に、何を、どの言語で、どの媒体を通じ、どのタイミングで伝えるのか。
そして同時に、情報空間で何が起きているのかを把握し、偽情報や不自然な情報拡散を分析する能力も必要です。
外交も経済安全保障も、実際に何をするかと同じくらい、正確な事実をどう伝えるかが重要になっています。
国際協力を「未来への投資」に
私は、これまで日本が積み重ねてきたODAを否定するのではなく、その強みを生かしながら、さらに次の段階へ進める余地があると考えています。
国際協力と投資的な発想を、もっと組み合わせられないか。
日本の国益と相手国の成長を対立するものとして考えるのではなく、双方に利益が残る仕組みを制度としてつくれないか。
その一つとして、外務省にも投資機能を持たせる「外交戦略ファンド」のような新たな仕組みについても、今後、具体的に企画・提案していきたいと考えています。
日本には、技術があります。人材があります。文化があります。
そして、長い年月をかけて積み重ねてきた信頼があります。
これらをバラバラに使うのではなく、一つの戦略として結びつけていく。
そして、「日本と組んでよかった」と10年後、20年後にも思ってもらえる関係を、一つひとつ増やしていく。
それが相手国の成長につながり、同時に日本の国益、日本企業の成長、そして日本の存在感にもつながっていく。
自民党 日・グローバルサウス連携本部長として、そのための具体策をこれからも形にしていきたいと思います。
今回、このような貴重な機会を設け、幅広いテーマについて丁寧に取材してくださった読売新聞社、「DOW JONES 読売新聞 Pro」ならびに関係者の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
「DOW JONES 読売新聞 Pro」は法人向けの有料会員サービスですが、今回のインタビュー記事は約1週間、非会員の方にもお読みいただけるとのことです。
この記事では、ここで触れたテーマに加え、ASEAN・インドとの経済関係や、今後の国際協力、政局についてもお答えしています。
ぜひ、この機会にインタビュー全文をご一読いただければ幸いです。
▼「DOW JONES 読売新聞 Pro」について
https://www.yomiuri.co.jp/topics/djypro/